THE THEATER OF DIGITAKE
初めての不旅行19 4/14


■学問の神様

「しかし、高校受験やめてどうするんだ? 働く気か?」

「・・・・」

「働くなんて言ったら、それこそ自分の将来を決めてしまうようなものじゃないか?」

「だけど、仮に働いたって・・・一生その職業でいることはないでしょ? 会社変わることだってあるかもしんないし・・・」

宮田は再び言葉に詰まった。
確かに、どんなにいい会社に入ったとしても・・・年功序列はもうない。
それは宮田が今一番実感していることだ。

「・・・とにかくだ。何にしても、おまえがそうやって悩むのは勉強が足りない証拠だ。まず高校へ行って勉強をすれば、また先に見えてくることもあるかも知れないだろう?」

「・・・そうかなぁ」

「そうに決まってる! ホラ、おばあちゃんも心配して太宰府のお守り送ってくれたんだろ」

宮田は、そう言って紫色のお守りを良樹に握らせた。

「ありがたいお守りだぞ。学問の神様、菅原道真の・・・」

「菅原道真ってさぁ・・・」

「?」

「京を追われて太宰府に行って、不遇の死を遂げたっていう・・・あの?」

「・・・そ、そうだったかな?」

「で、その後、京に天変地異が起きて、あわてて天神様に祭り上げられたんだろ?!」

「・・・・」

「効果あるのかなぁ・・・そんな左遷させられたヤツのお守り」

宮田の顔つきがサッと曇った。


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