Episode No.979(20011015):言われたコトだけじゃ、食っていけない

「研究者というのは、ご承知のように、ある日突然、
 素晴らしい技術や理論を発見したりしますよね。
 これは・・・
 人間の頭の中に関連なく存在しているアイデアが
 1つのことを毎日考え続けているうちに、
 ちょっとしたヒントでリンクされて、
 素晴らしいアイデアになるからなんです。

 ○○○の方もそれと同じで、
 毎日どうやって稼ごうかと考えているうちに
 突如としてアイデアがくるんだと思います。
 脳の思考回路ということでいえば、
 ○○○の方は発明家と同じなんですね」

私が最近読んでいる或る本で・・・
著者が○○○の話を某大学教授にしたところ、こんな答えが戻ってきたそうだ。

さて、○○○に入るのは・・・何だと思う?

小説家、漫画家、あるいは作家・・・と入れても話は通じそうだ。
現に石ノ森章太郎も名著「マンガ家入門」の中で同じようなコトを言っている。

映画監督と入れてもいいかも知れない。
チャップリンはもとより、ルーカススピルバーグも、
そのアイデアで一斉を風靡している。

政治家・・・と入れたら
吉田茂田中角栄など、独創的で力強い政治家が思い浮かばないこともない。

但し、ここには「稼ぐ」という言葉が入っているから・・・
もっと直接的に商売人、と言ってしまった方がピッタリくるだろう。

アイデア起業家として私が尊敬する小林一三も・・・
世界に躍進したSONYの井深大盛田昭夫、そして本田宗一郎
やっぱり折に触れて似たようなニュアンスを口にした。

だが、この本にそうした偉人たちの話は一言も出てこない。

もちろん、この大学教授が説明しているのも偉人ではない。
むしろ、その逆・・・
○○○には「ソノ筋」と入る・・・つまり、ヤクザだ。

本のタイトルは、その名も「ヤクザの実戦心理術」。

私がこんな本を読んでいるのを知って、
目次を目にした会社の仲間やカミさんが口をそろえて私に言った。

「あんたがやってるコト、そのまんまじゃない?!」

何も私が誰かから金を脅し取っている・・・というわけではない。
ただ、食い下がり方が似ているというのだ。

それは確かに・・・そうかも知れない。
非合法、もしくはスレスレならヤクザ・・・合法ならば商売人。

「交渉は無理難題から始め、小さな要請をスッと出す」

私が知る限り・・・
フリーはもちろん、サラリーマンであろうとなかろうと
タイムカードを押せば仕事が終わる、という感覚を持つ人以外は
みんなこうして四苦八苦しながら・・・何とか食っているよ、な。


参考資料:「ヤクザの実戦心理学」向谷匡史=著 KKベストセラーズ=刊