でじたけの「人生日々更新」不便を楽しめるか?

Episode No.5915(20170731)[生活]Life

不便を楽しめるか?
Can you enjoy the inconvenience?

電気炊飯器が発明された時
「寝ている間にメシを炊こうなんて、
 そんなだらしない女のことを我が社が考える必要はない!」
…と、役員会で一度は却下されたというが、
結果どうなっているかは、ご承知の通り。

この間観た映画「スティーブ・ジョブス」でも、
若き日のジョブズが
「コンピュータなんて欲しがるのは、一部のマニアだけだ」
…と、こき下ろされている場面があった。

便利なモノは確実に
人の価値観や習慣を変えてゆく。

電話がない時代には、
飛び込みの営業も当たり前だったが、
今はアポイントメントがないと、
客先と顔を合わせることすら難しい。

メールが連絡手段として
仕事で使われるようになって久しいが、
今や「何時に電話をしてもいいですか?」
…というメールが来ることも珍しくない。

つまり、
電話「で」アポイントメントをとるのではなく、
電話「の」アポイントメントをとるのである。

確かに電話がかかって来ると、
それまでしていた作業を中断しなければならない。

ビジネスマンの中には、
相手の時間を強制的に奪う
電話をかけてくる奴を信用するな
…という者さえ現れるくらいだし、
会社に電話はもういらない
…という話もすでに極端ではなくなっている。

情報を検索するのは、まずネット。
キーワードを入力すれば、
ピンポイントで欲しい情報が手に入る。

しかし、そこには…
うまく飯が炊けたという喜びも、
運良くあの人に会えたという嬉しさも、
本屋にいって本棚を眺めていたら、
欲しかった本の隣に、
もっと興味深い本を見つけたという出会いも
…ない。

不便さを乗り越えた達成感を知らないと、
不便さを乗り越える抵抗力も生まれなて来ない。

かといって、
ひと度慣れてしまった便利さを、
そう簡単に捨てることはできない。

ならばせめて
時には意識して
不便さを感じる生活に興じてみる必要がある。

スポーツをすることも、
楽器を演奏することも、
絵を描くことも…
つまりは、そういうためにあるのだと思う。

だから、人生日々更新。

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