Episode No.6914(20201008)：[徒然]Others
ませガキの記憶

貧しい彼は
金持ちの友人を
つねに妬んでいた

しかし
生まれながらの貧富の差は
許す…いや認めることもできた

何より自分に対する
言い訳になっていた

しかし
目の前にいる美しい女性に
経済的な理由で
下に見られることだけは許せなかった

それは若さの証だったかもしれない

彼は彼女の前で貧しさをひた隠した

金持ちの友人に誘われた
数あわせの船上パーティーでは
気取って高級料理をたいらげた

そこで彼は
金持ちの友人に
ナイフとフォークの使い方が
まるでなっていないことを
鼻で笑われてしまう

「上品ぶることが
　そもそも下品だ」…と

彼が
都合のいい金持ちの友人に
殺意を抱いたのはその時だ

あるいはそれが
憧れを抱く女性の前でなかったら
これまで通り
媚びへつらっていられたかもしれない

…以上
知っている人は気づいたかもしれない
アラン・ドロン主演の名作
「太陽がいっぱい」のワン・シーン

このシーンと
友人になりすましたアラン・ドロンが
友人のサインを真似ようとするシーン

それからもちろん
衝撃のラストシーンは
…今でもよく覚えている

観たのはたぶん
中学生の頃だと思うけどね

心理を突いたインパクトは
…つねに新鮮だ

そして今も
このシーンを思い出すような場面に
繰り返し遭遇している

だから、人生日々更新