離婚をした時はね。
									ダンナに「小説家になりたいから」って言ったの。
									本当は男ができたからなんだけど、
									それじゃあ体裁が悪いから・・・。
									でも、そう言ってしまったからには
									なるしかないと思って小説家になったの。
									嘘は言いたくないから、
									自分の言葉には責任を持つようにしてるのね。
								・・・テレビを見るのは、
									決まってメシを食いながら。
									昼飯を食いながらスイッチを入れると、
									「源氏物語」の新訳本を書き上げた、
									あの瀬戸内寂聴さんが、こんな話をしてた。
									御年85歳。
								出家してる人なんだけど、ね。
									親しみやすい・・・
									いい意味で俗っぽくて面白い話だったので、
									・・・ついつい昼休みをオーバーしてしまった。
								嘘から出た誠・・・なんて言い方があるけど、
									まさにこんな感じなのかなぁ。
								それで実際に小説家になって、
									文化勲章まで受けたんだからスゴイ。
								文化勲章の授章式でも、
									つい「次は子供向けのものを書きます」
									なんて考えもしていなかったことを言ってしまい、
									その後、本当に絵本を何冊か出している。
								つい、うっかり口が滑って
									何かを言ってしまう
									・・・と、いうことは誰にでもあるけど、
									滑りっぱなしじゃ、終いに転ぶ。
								どこで踏みとどまれるのかが、その人の力。
									やっぱり大切なのは・・・自分との約束。
								軽口をたたいて一番重く感じるのは
									・・・自分自身に違いない。