昔、地方から始めて東京に出てきた男が、
有楽町で降りて、右も左もわからず、
タクシーに乗って「銀座まで」と言ったら、
タクシーを降ろされた…と怒っていた。
有楽町と銀座は目と鼻の先。
それを知っていれば笑える話だが、
知らない人にとってはおっかなびっくりでも無理はない。
東京生まれで、横浜育ちの私には、
地方から都会に出てきた時の驚きは、
なかなかわからないようでもあるけれど…
ちょっと大阪に行きゃあ、やっぱり右も左もわからない。
当たり前…の基準は人によって違う。
違う、ということを笑うのは、
考えてみるとすごく失礼なことだよな。
…強いて言えば、それは差別につながる。
一方…
親に高校まで出してもらったのに
算数がわからない、とか
基本的な漢字の読み書きができない、とか
ペンや箸の持ち方がおかしいっていうのは
…笑われて当然。
知らなくて仕方ないこと…じゃなくて、
知っていて当たり前だから、ね。
そういう輩は差別じゃなく、
能力別に区別されて、
与えてもらえる仕事は簡単なことばかり。
…結果、もらえる賃金のレベルも決まってしまう。
知識のいらないところに住むのは個人の自由だけれど
…生活が不自由になることは覚悟の上じゃないとな。